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病害

 他の草花や樹木で見られるような目立った病害はありません。

虫害

ネジラミ

 根に付く白い小さな小判型の虫で、綿のようなものを被っている場合もありますが、ちゃんと観察したことがありません。重大な障害は引き起こさないようですが、あまり増えても良いことがなさそうなのでオルトランを培養土に混入しています。

ナメクジ、カタツムリ

 開花期に花や蕾を食害するので困りものです。一般的な駆除剤で防除出来ます。

コオロギ、バッタ、ゴキブリ

 私は被害にあったことがありませんが、かじられることがあるようです。

ミノムシ

 群生株の株元に入り込んで球体を糸で綴り合わせ、中に長さ2cm程で黒い芋虫が居ます。ミノガの一種の幼虫でしょうか?株の周囲に糞が積み重なって美観を損ねます。普段は枯葉を食べているようで、たまに生きている葉も食べます。オルトラン粒剤で駆除出来ます。

腐敗

 栽培していて一番問題になるのは球体の腐敗でしょう。コノフィツムが枯死する原因のほとんどは、「腐れ」によるものです。原因は細菌やカビと考えられますが、その正体や発病のメカニズムは未解明です。種や品種によっても腐敗しやすいものと、そうでないものがあります。発生時期は春〜梅雨時に集中します。また、休眠中(夏)に殻の中で腐敗、萎縮していることがあります。
 これまでの経験から考察すると、コノフィツムの腐敗は病原菌の感染による病害ではなく、生育期間中に十分生育出来なかったことによる生理障害ではないかと思われます。特に弱光線下で生長期を過ごした株は休眠前の新球の形成が十分でないことから、休眠前に十分エネルギーが蓄積出来なかったことによる自己崩壊のような現象ではないかと考えています。もちろん腐敗そのものは、微生物によることは間違いありませんが、生育不良の結果として腐敗しやすくなると考えられるのです。
 ですから、腐敗の予防は殺菌剤のような農薬では防ぐことは出来ないと思われます。腐敗を防ぐために株元に小石を敷いて乾燥しやすくしなさいと書いてある本も多くありますが、上記のような生育不足による腐敗を防ぐ効果は無いと考えられます。日光を十分浴びて育った株は、たとえ小石など敷かなくても腐敗することはありません。
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写真:腐敗は根元から起こることが多い。こうなってしまったら絶対に助からない。

生理障害など

二重脱皮

 リトープスと違って、コノフィツムの場合は二重脱皮を起こすことはほとんど無いと思います。最近コノフィツム属に統合されたオフタルモフィルムでは、休眠期に水分が多いと二重脱皮を起こしやすいようです。夏期、あまり強い遮光をしない方が良さそうです。また、大型種やオフタルモフィルムでは、球体にひび割れが入ることがあります(灌水過多によるとされますが、原因はそれだけでは無いように思います)。
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写真:二重脱皮(左)と身割れ(右)

日焼け

 病虫害ではありませんが、休眠開けの9〜10月に日焼けの被害に遭うことが多いです。日よけのために張った寒冷紗をはずした直後に被害を受ける事が多いので要注意です。球体の太陽に当たる面がうす茶色になってしまったり、半透明のぶよぶよになっていたら日焼けと考えられます。軽度の日焼けであれば、そのまま放置しても問題ありませんが、重症になるとそのまま腐ってしまいます。

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写真:さまざまな日焼けの症状(これらのうち、助かったのは左上のものだけだった)

日照不足

 室内で栽培したらダメですか?という質問を良く受けるのですが、ケースバイケースと思います。温「室内」なら生育が良いことから明らかな通り、室内であるかどうかというより日照時間の問題と考えた方が良さそうです。もちろん気温の日較差なども考慮する必要があるとは思いますが。
 下の写真は、2001年の秋より約1年間、南向きの窓辺に置いた株と、日照の良い屋外で育てた株を比較したものです。実験を開始した時点では2つの株ともほぼ同様の状態でしたが、1年経過後の生育の違いは一目瞭然と思います。左の株を置いた場所は、南向きの窓辺(透明ガラス戸)で、一日4時間程度は陽が当たり、日照時間は十分と考えられました。ただ、日中、冬は暖房、夏はエアコンが効く等、種々の面で「季節変動」が少ないためか、休眠入りなども明確でなくなり、徐々に体力を消耗していったように見えました。手元に置いて可愛がりたい気持ちも解りますが、この環境条件は、コノフィツムの好みでは無い様子ですね。
 もちろん、この結果が、室内で栽培することが不可能であることを示しているとは思われませんし、室内で上手に栽培している人もおられますので、いろいろ工夫の余地があると考えています。

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写真:室内で育てた株(左)、屋外で育てた株(右)(2002年秋の状態)

「しわしわ」が生長期になっても回復しない

 9月〜10月になり、生長期に入っても、新らしい球体(新葉)が「しわしわ」になってしまい、潅水しても回復しない事があります(下の写真参照)。このような症状が出た場合、普通の植物ですと「根腐れ」が疑われますが、コノフィツムの場合は、「茎枯れ」が原因です。夏の休眠中に細根ばかりか茎まで枯れてしまい、生長期になって水を与えられても吸水する事が出来ないのです。こんな場合は、茎の中心に白い所(通導組織が生きているところ)が見えるまで切り戻し、挿し木します。
 一方、挿し木したばかりの株が「しわしわ」になるのは仕方無い事ですから、発根まで待ちましょう。あまりにもシワがひどかったり、回復が遅いようでしたら、軽く遮光し、風通しを弱くして湿度を高めてやると効果的です。

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写真:しわしわになってしまったコノフィツム
灌水しても「しわしわ」のままの株(左)、掘り上げると細根がすっかり枯れている(中央)、正常な株(右)


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写真:しわしわになった株の救助法
この写真では、内部組織(通導組織等)の様子が見えるように茎を縦切りにしました(左)
切り戻し後(中央)、茎が1mm程度しか残らなくても大丈夫(右)

獣害

鳥害

 ベランダで栽培していると時折鳥による被害を受けます。犯行現場を目撃した事が無いため、鳥の種類は特定出来ませんが、嘴の痕からあまり大型の鳥では無いように思われます。被害を受けやすい種や品種があるようで、光沢のあるものや、有窓系に集中します。もちろんタビ型でも被害を受ける場合がありますから油断は出来ません。被害の様子は、嘴でつつかれる程度ですが、植え替えや挿し木して間もない、根が十分張っていない株では、抜き取られて近くに放り出されている場合があります。実生鉢が軒並みほじくり返されて、どれがどれやら判らなくなってしまった事もあります。
 被害を受ける時刻は、早朝ではないかと思われます。おそらく食餌のためにやってくるのでしょう。どうやら不味いらしく、ちょっとつついては、隣の株をつつき、さらにまた隣の株を・・・という被害の受け方をします。つつかれることによって枯死する事はありませんので、植え直しておきましょう。
 私の場合、ワーディアンケースに入れて、窓を夜に閉じ、朝出勤前に開けるというやりかたで被害を防いでいます。ケースにネットを張ったりしても良いと思われます。

鼠害

 我が家では、ここ数年クマネズミと思われるネズミの被害が増えて来ました。白っぽい色のメセン類が好みのようで、コノフィツムではカルキュラスが集中的に被害に遭い、緑色の種類では全く被害がありません。その他の属ではリトープス全般、魔玉が被害に遭いやすいようです。玉型メセンではありませんが、モニラリアは根こそぎ食害されます。棚にネットを張る事で被害を防ぐことが出来ます。
 殺鼠剤を好んで食べているようですが、ネズミがいなくなった様子はありません。