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実生と交配2ss.jpg

交配の目的

 タネまきに慣れたら交配も試してみましょう。交配の目的は2つあるかと思います。1つは原種の保存です。コノフィツムの多くは自家不稔のため同じ原種が2クローン以上が必要になります。原種といっても産地によって随分と顔が違いますから、原種の純粋性を保つためなら同じフィールドナンバーのものを2クローン以上用意しましょう。もう1つの目的は交配品種の作出です。交配の組合せは同種内での交配や種間交配、あるいは園芸品種同士の交配や園芸品種と原種の交配など多くの組合せが考えられます。一般的に種間雑種は両親の中間的な形質になることが多く、特徴がぼやけた株になることが多いのですが、時に両親の良いところを兼ね備えたものが出現することがあります。また、シブリングクロスでF2での分離をみても面白いでしょう。

交配の方法

 2つの開花株を用意します。但し、2つの株は互いに遺伝的に異なっていることが必要で、一部の種類を除いて同じ株に咲いた2つ花を交配しても結実しません。また、そのような自家受粉しない性質があるため、交配前の除雄(種子親にする花の雄しべを取り除く作業)の必要はありません。交配作業は、適当な弾力のあるテグスや細いコヨリで行います。まず花粉親株の花にコヨリを差し込み、黄色っぽい粉(花粉)が付着したことを確認して、種子親にする方の花に差し込みます。雌しべには受精に適した時期があるため、日をあけて何度か同じ作業を繰り返した方が結実率が高くなるようです。また、昆虫による意図せぬ交配を防ぐため、用いる株は開花前と交配後は網室に入れておいても良いでしょう。

 種間交配の場合は交配組合せの親和性に気をつけます。種間交配は種子ができない場合が多いのですが、同じ節に属するもの同士であれば種子が採れる確率はやや高いようです。以下の表にこれまでに報告されている交配組合せをまとめましたので、交配時の参考にしてみてください。C. maughanii は種子親として広い交配親和性を持っているのが興味深いです。

コノフィツム交配組合せ表.jpg
種間交配の報告があった組合せ

左側縦の列が種子親の属する節、上部1行目が花粉親の属する節をそれぞれ表示
(クリックすると拡大表示します)

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交配が成功していれば徐々に果実が肥大し、これをカプセルと呼びます。種子が熟するのは開花の翌年で、休眠前後にカプセルが茶色く乾燥したらハサミ等で丁寧に切り取ります。乾燥したカプセルを株に着けたままにしておくと、潅水時にカプセルが開いて種子が飛び散ってしまうので、乾燥したらすぐに収穫しておきます。

種子の収穫と保存

 夏〜秋に収穫したカプセルは、水に漬けると花が開くように裂開します。小皿に少量の水を張り、水中でカプセルを揉みほぐしたり楊枝などで突いて中の種子を取り出します。水中に分散した種子は、小皿を円を描くように揺り動かして中央に集めます。充実した種子は小皿の底に沈むので、ゆっくりと小皿を傾けて水を捨てます。風の無いところで数時間乾燥させ、薬包紙などで包んで播種時期まで保存します。密閉容器に入れて冷蔵庫で保存すれば、10年くらいは発芽能を保ちます。室温で保存した場合、種子の寿命は3年ほどです。下の例はリトープスですが、コノフィツムの場合も全く同じです。

開いたカプセル.jpg種子の集め方1.jpg種子の集め方2.jpg

乾燥した種子.jpg種子袋.jpg

コノ実生1年苗.jpg
播種後1年目の様子