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タネ播きの楽しみ

  現在、多くの種類(原種、園芸品種)を通信販売等で入手することが出来ますから、コノフィツムの栽培を種播きから始める人は少ないでしょう。・・・が、少し栽培に慣れて来たら種まきから始めてみてはいかがでしょうか?。発芽から少しずつ大きく生長して行く様子を観察するのも面白いですし、滅多に分頭しない種類(有窓類に多い)を増やすにはタネ播きするしかありません。また、夜咲き紋様系では、お気に入りの紋様の個体を選抜するのも楽しいでしょう。いずれにしても年数や手間がかかるだけに、種子から育てた株が花を咲かせた時の喜びはとても大きいものです。

タネ播きの方法

  私はタネ播きを始めてから10数年になりますが、相変わらず試行錯誤しながらやっています。現在のところ適当と思われる実生方法を以下に記します。

播種用培養土

  コノフィツムの実生は他のメセン類に比べて生長速度が遅いため、タネ播きから1年間は播種用土で育てます。芝の目土(赤玉土の小粒より細かいもの):鹿沼土(挿し芽用の細粒):腐葉土(5mm目の篩を通したもの):バーミキュライト(細か目のもの)=4:4:1:1くらいにブレンドして使っています。

  49穴の連結トレーを適宜カットして使用しています。2〜3号程度のプラ鉢でも良いでしょう。素焼き鉢や朱温鉢は乾きすぎるかも知れません。播種から1年間は苗が小さく根も細く弱いので絶対に培養土を乾かしてはいけません。そたのめ、あまりに小さな鉢は乾き易く使いにくいかと思います。

播き方

  適期は9月〜11月ですが、生長期間を長くとるため、特に冬の保温施設が無い場合にはなるべく早めに播種するのが良いでしょう。但し、高温期には発芽したばかりの実生が腐りやすいので、9月末〜10月上旬くらいがお勧めです。

  鉢に培養土を入れる時は、鉢にすり切り一杯入れています。月日が経つに伴って培養土表面が徐々に下がるからです。実生は直径数ミリととても小さいので、培養土表面が下がると鉢の縁の陰になってしまい、発芽した場所によっては全く日の当たらない実生が出てしまいます。元肥としてマグアンプKの細粒を適量(1ポットあたり1つまみ)入れておきます。また、培養土の一番上には芝の目土(赤玉微粒)を2mm程度の厚さに敷くとコケが生えにくいようです。

  種子はとても細かいので厚播きになりやすいものです。播種後1年間はそのまま育てますから、種子が数mm間隔に散らばるように培養土表面に落とします。覆土は必要ありません。播種後は鉢を受け皿やトレーに並べて底面から吸水させます。

  9月播きですと数日後には発芽が始まり1〜2週間で発芽が揃います。10月以降の播種では低温のために発芽日数がかかるようになりますから、なるべく暖かい場所に置きます。

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2つ折にした紙に種子を乗せて
指でトントンと叩いて培養土上に落とす

ラベルを立てたところ.jpg
名称と播種日を書いたラベルを挿す

発芽後の管理

  9月の直射日光は実生には強すぎるので、10月までは遮光するか明るい日陰に置くようにします。実生は球体が小さいため貯水能力はほとんど無く、また根も発達していませんから、培養土が乾き過ぎるとあっという間に干涸らびてしまいます。乾涸びないまでも、乾燥で根を傷めると生育が止まってしまいますから、適度な土壌水分を維持するようにします。潅水は底面給水が最も手軽で確実ですが、水分過多になると培養土表面にコケや藻類が蔓延って実生の生育が阻害されます。実生の成否はこの適度な土壌水分維持にあると言っても過言ではありません。施肥は元肥だけで十分ですが、ごく薄い液肥(ハイポネクス1/2000希釈液)を週1回スプレーで与えてもよいでしょう。表土に塩類(肥料分)が集積し結晶化することがあるので、月に1回くらいは目の細かい如雨露で上面から潅水すると良いようです。

  親株と同様、5〜6月から茶色い皮を被って休眠に入ります。最初の夏越しは球体がまだまだ小さいですから乾かし過ぎないように注意します。夏眠中に根が枯れると秋になっても生育が再開しないので、50%程度の遮光下に置き、週に1回程度の軽い潅水を続けます。そして、殻を破って新球が顔を見せる9月〜10月に第一回目の移植をします。培養土は親株と同じもので良いでしょう。種類にもよりますが、播種後2〜3年目から開花し始めます。

問題点

  潅水量が多いと表土に苔や藻類が発生しやすくなります。これらはやがて培養土表面を覆いつくし、上面からの潅水を弾くようになります。その結果、潅水しても内部の培養土は乾いたままという状態となります。また、乾くと反り返って実生を根こそぎ持ち上げてしまうこともあります。苔や藻類の発生を防ぐには、表土を過湿にしないことがポイントですが、潅水量が少ないと実生の生長が止まるので厄介な問題です。

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播種後はトレーに入れて底面潅水